【1.読解】This Is Me / Keala Settle and The Greatest Showman Ensemble



Sec.1 読解


今回は映画「Greatest Showman」の劇中歌、「This Is Me」を訳していきましょう。
この映画は実在したアメリカの興行師、Phineas Taylor Barnumと彼が設立したサーカスの仲間たちに焦点をあてたミュージカル映画です。

このThis Is Meは、他の人とは違う特徴を持って生まれたがゆえに蔑まれて生きてきたサーカス団のメンバーが、「これが私!」と困難に立ち向かっていく決心をするシーンで歌われた曲です。

メインボーカルのKeala Settleが歌うのが怖かったと言うほどの思いが込められたこの曲は、どういった内容なのか読解していきましょう。




I'm not a stranger to the dark

「I am not a stranger」は「私は未経験者ではない」です。
後には「to the dark」があるので、この“未経験者”は「暗がりの未経験者」となります。

まとめると「私は暗がりの未経験者ではない」となります。

Hide away, they say

「Hide away」は「向こうに隠れろ」というように命令している感じがあります。
奥の方に隠れろ、というニュアンスもあるので絶対見つかりたくないのでしょう。

「they say」は「彼らは言う」です。
この歌を歌っているサーカスのメンバーは、女性なのにひげが生えていたり、体のどこかに他の人とは違うところがある人たちです。
回りの人に「Hide away」と言われてきたのでしょう。

'Cause we don't want your broken parts

「'Cause」は「Because」を省略した形で、意味は「~から」です。
なぜ“隠れろ”と彼らが言ったのか説明している文がこの文になります。

「we don't want」は「私たちは欲しくない」。
「your broken parts」は「あなたの壊れた身体の部分」、つまり、「私たちはあなたの壊れた身体の部分は欲しくない」となります。

他の人と違う部分を持ったあなたはいらない、というような意味です。

「I've」は「I have」の略で、「I have learned to be」の「have」の本質は「持っている」。
「learned(学んだ)」から持っているというイメージなので、「過去の経験から学んで、そうするようになった」という意味になります。

「all my scars」は「私の全ての傷」。
「ashamed of all my scars」は「私の全ての傷を恥じて」という意味になるので、全てまとめるとこの文は「私は私の全ての傷を恥じるようになった」という訳になります。
ニュアンス的には、過去の経験から傷を恥じるようになった、という感じです。

Run away, they say

「Run away」は「逃げろ」と命令しているような感じの意味ですが、同じような意味を持つ「escape」よりは単純に「向こうに走れ」と文字通り言っているだけのようなニュアンスです。「向こうへ行け」でもいいかもしれません。

「they say」は「彼らは言う」ですね。

No one'll love you as you are

「No one'll (one will) love you」は「あなたを愛する人は誰もいないだろう」です。

「as」の本質的な意味は「まさにコレ」という感じです。
下記のページで詳しく説明しているので、ぜひ見てみてください!



「you are」というのは「あなたそのもの」という意味なので、ここで使われている「as」は「~のままで」という訳になります。
なのでこの文は「あなたそのもののままで愛する人は誰もいないだろう」、「あなたそのものを愛する人は誰もいないだろう」となります。

But I won't let them break me down to dust

「I won't (will not) let them」は「私は彼らにさせない」という訳になりますが、「won't」には「絶対させない」というような強い意志があるように感じます。「don't」よりも強い意志です。

何をさせないのかが「break me」、「私を破滅させて」。そして「down to dust」、「ごみに至るまで」。

「私をごみのようになるまで壊して破滅なんて絶対にさせない」というニュアンスの文になります。

I know that there's a place for us

「I know that」は「私はそれを知っている」で、「それ」とは何なのかを説明しているのが「that」以降の文章です。

「there's」は「there is」を短縮した形で、「そこにある」というような意味があります。
何があるのかというのが「a place for us(私たちの場所)」。
そんなに気にしなくていいかもしれませんが、「a place」には“私たちの場所”がどこなのか、どんな場所なのかが想像できているようなニュアンスを感じます。

まとめるとこの文は、「私は私たちの場所があるということを知っている」となります。

For we are glorious

「栄光ある私たちのために」
「glorious」は「栄光」の他にも「輝かしい」や「美しい」などの意味を持つように、キラキラした功績のイメージです。

When the sharpest words wanna cut me down

「when」は「~時」という意味で、when以降の文は“どんな時か?”を説明する文になります。

「the sharpest words」は「最も鋭い言葉」という意味で、「Hide away」や「Run away」のことを指していることが読み取れます。
他にも、自分の傷を恥だと思うようになった経験、その時に言われたであろう言葉も含んでいるのでしょう。

「wanna」は「want to」のカジュアルな言い方で「~したい」という意味です。
「cut me down」は「cut(切る)」「down(下に)」という意味から、「倒す」や「切り倒す」「切り捨てる」と訳すことができます。
侮辱するようなニュアンスを持っていて、「打ちのめす」ような訳としてもいいかもしれません。

この文をまとめると「最も鋭い言葉が私を打ちのめしたがるとき」となります。

I'm gonna send a flood, gonna drown 'en out

「gonna」は「going to」のカジュアルな言い方で、「するつもりだ」と訳せます。

「send」は「出す」という本質的な意味を持っていて、「送る」はもちろん“パンチをくりだす”というイメージから「くらわせる」と訳すことができます。
なので、「I'm gonna send a flood」は「私は洪水をくらわせるつもりだ」という意味になります。

「drown 'em (them) out」は「彼らを立ち退かせる」というフレーズなので、「gonna drown out」は「彼らを立ち退かせるつもりだ」となります。

I am brave, I am bruised

「I am brave(私は勇士だ)」「I am bruised(私は傷ついた者だ)」
「bruise」は「傷つける」という意味ですが、これは体の傷にも心の傷にも使う単語です。

I am who I'm meant to be, this is me

「I am who」は直訳すると「私は誰」となりますが、この「who」は“どんな人か?”を意味していて、who以降の文はそれを説明する文になっています。
それが「I'm meant to be」、「私であるはずだ」なので、「I am who I'm meant to be」は「私は私であるはずだ」となります。
また、「I am」と「I'm」と使い分けているのにはニュアンスの違いがあり、「I am」の方が強調している感じがあります。
歌のリズムの関係もあるかもしれませんが、「“私は”私であるはず」と強い意志を持って言っているのだと思います。

「this is me」は「これが私」です。


Look out 'couse here I come

「'cause(~だから)」があるので先に「here I come」から見ていきましょう。
これは少しややこしいかもしれませんが、「here(ここ)」というのは相手にとっての“ここ”です。
相手がいる場所に「I come(私は行く)」、「そこに行く」という感じになります。
「I come here」でも同じ意味になりそうな感じがしますが、これは「私はここに来る」というような意味になってしまうのでちょっと変わってしまいますね。

「Look out」は「注意しなさい」という意味です。「watch out」も同じ意味ですが、この二つの違いはほぼないでしょう。
強いて言うなら「look out」の方が具体的かも?くらいで、同じニュアンスと言ってもいいと思います。

なので、この文は「私が行くから注意しなさい」という訳になります。

And I'm marching on to the beat I drum

「And」は「そして」という意味です。

「I'm marching on to the beat」で「私は鼓動に合わせて行進している」という訳になり、どんな「the beat」なのかというのが「I drum(私がたたく)」になります。
つまり、私がたたく鼓動(私の心拍)に合わせて行進している、という意味です。
この歌を歌っているシーンでは何も持っていないのでこのような訳としていますが、楽器を持ったりしているシーンなら「私のドラムに合わせて行進している」としてもいいと思います。

I'm not scared to be seen

「I'm not scared」は「私はおびえない」。
どんなことにおびえないか、というのが「to be seen(見られる)」なので、この文は「私は見られることにおびえない」という訳になります。

I make no apologies, this is me

「make」は「作る」という意味から、「その状態にする」というような意味を持つことがあります。例えば「Make you happy」は「あなたを幸せという状態にする」というような感じです。
この文では「I make no apologies」なので「私は謝らないという状態にする」、つまり「私は謝らない」となります。ニュアンスとしては「謝らなくて当然、謝る必要はない」という意味です。

「this is me」は「これが私」ですね。

Another round of bullets hits my skin

「Another round of bullets」は、「round」の本質が「円」であるように複数の「bullets(弾丸)」がぐるぐる回っていて、それが飛んでくるイメージです。
この「bullets(弾丸)」は、自分を傷つける言葉の比喩でしょう。先に出てきた「sharpest worlds」と同じだと思います。
傷つく言葉を浴びせられて、それが「hits my skin(肌を殴る)」。

訳としては、「無数の弾丸が肌を殴る」という感じです。

Well, fire away

「fire away」は日常生活では「どんどん質問して」「どんどん始めて」という意味で使われますが、前のフレーズで「bullets」というワードが出てきているので、元々の意味である「どんどん撃て」という訳でいいでしょう。
「発砲(fire)しても向こうに(away)やるからどんどん撃てよ」といったニュアンスの強気な言葉です。

文頭の「Well」は相槌で、言い方や文脈で意味が変わってきます。考えているときの「えーと」や「やれやれ」なんかも「Well」で表現できますよ。
今回は「fire away」という強気なワードが後に続いているので「さあ、撃てよ」の「さあ」にあたる言葉でしょう。

'Cause today, I won't let the shame sink in

「'Cause today,」は「今日だから、」や「だって今日は、」という意味です。

「let (that) sink in」には、「よく考えて理解して」といった意味があります。「sink in」に「十分に理解される/心に沁み込む」という意味があるように、knowよりももっと深く理解するというニュアンスです。
なので、「let the shame sink in」は「恥をよく理解する」といった意味になりますね。
この「恥」とは、他の人と違った身体をもつ自分のことを指しているのでしょう。

「won't」は「will not」を短縮した形なので、この文は「私は恥をよく理解しないでしょう」や「恥を理解しなくていい」というような意味になります。

We are bursting through the barricades and

この文は「私たちはバリケードを突破して」となり、最後の「and」は次の文にかかっています。

Reaching for the sun

「太陽に手をのばす」
暗がりに隠れて、ひどい言葉を浴びせられ、傷ついてきた困難を突破して明るい太陽に手を伸ばした様子がうかがえます。

(We are warriors)

「私たちは戦士だ」
「Another round~」から様々な困難を戦闘に例えてきました。だから困難と闘い続けた自分たちを「戦士」と比喩しているのですね。格好いいです!

That's what we've become

「That's (that is) what」は直訳すると「それは何」で、「それ」は「戦士」のことを指しています。
また、“戦士とは何なのか”を説明する文が「what」以降に書かれています。

「we've (we have) become」は「私たちはなる」です。
「have」の本質は「持つ」であることを考えると「become(~になる)」は“そうなった”様子のことだと分かります。

「戦士」は“私たちがなった姿”、つまりこの文は「それは姿を変えた私たち」で、おびえるのをやめて戦うために姿を変えたんだということを言っているのです。

And I know that I deserve your love

「And I know that(そして私はそれを知っている)」、この文の「that(それ)」はthat以降の文で説明しています。前のフレーズの“what”と同じような使い方ですね。

「I deserve your loe」、「私はあなたの愛を受けるに足る」や「私はあなたの愛を受ける価値がある」という意味です。

There's nothing I'm not worthy of

「There's (There is)」は「~がある」という意味があるので、「There's nothing」は何もないという訳になります。

「何もない」をもっと具体的にしているのが「I'm not worthy of」で、「私はふさわしくない」というような訳になります。
文末の「of」のイメージは“取り出す”ですが、「There's nothing(何もない)」ところから取り出せるものは何もないですよね。
なので、ニュアンスとしては「ふさわしくない理由がない」というような感じです。


Songwriters
Benj Pasek/Justin Paul


まとめ


いかがでしたでしょうか?
サーカスのメンバーがどんな思いで生きてきたのか、そして戦いのような日々を生き抜いてどんな決意でこの曲を歌っているのかが歌詞に詰め込まれていました。
サーカスのメンバーの中心で歌ったKealaが「怖くなった」と言うのも納得です。

MVには映画のシーンが使われていて、“戦士”となっていくその力強い姿を見ることができるのでぜひMVも合わせて見てみてくださいね。

間違っているところや分からないところ、リクエストなどもあればコメントやTwitterにて教えてください!

See ya!👋




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