Sec.1 英文解説
今回はWiz KhalifaのSee You Againを読解していきましょう。
この曲はPaul Walkerの遺作となったワイルド・スピード SKY MISSION(Furious 7)の主題歌で、映画の撮影中に亡くなった彼へ捧げる曲として制作されたという話はこの映画のファンにも有名な話です。
では、その歌詞はいったい日本語にするとどんなものなのでしょうか?
さっそく、まずは大まかに訳していきましょう。
It's been a long day without you, my friend
「It's been」は「It has been」を省略した形です。
「It has been a long day」は日常でもよく使う表現で、「今日は忙しかった」や、「長い1日だった」という意味で使われています。
「without you」があるので、ここの訳は「あなたがいない1日は長い」が適当でしょうか。
最後の「my friend」は呼びかけで、「Without you」の「you」に呼び掛けているのでしょう。
And I'll tell you all about it when I see you again
「when」は「~とき」を表現する単語です。
英語と日本語は語順が違うので、日本語にするときは「when」以下の文から訳した方が分かりやすいですね。
★ And I'll (I will) tell you all about it
「will」は“現実の延長線上にある未来”を表現する単語です。
「tell」は“伝える”というニュアンスを持った「言う」なので、これは「そして私はあなたにそれについて全て言おう」というような意味になります。
最後の「it」は「それ」という意味ではあるのですが、同じ言葉が続くのを避けたり、具体的な意味を持たない場合に使ったりもします。
この文では「それ」というのが「all(全て)」のことで、“my friend”がいない間に起こったこと全てを指しているので、訳としては「全部話そう」のような感じでもいいかと思います。
★ when I see you again
「また会ったとき」。
「see」と同じく、「会う」という意味を持つ単語に「meet」がありますが、“meet”は“初めて会う”というニュアンスを含んでいます。
全てまとめると、「そしてまた会ったときに私はあなたにそれについて全て言おう」、「また会った時に全部話そう」となります。
We've come a long way from where we began
★ We've (We have) come a long way
「have」は「持っている」というのが本質的な意味なので、「We've come」は「私たちは“来る”という状態を持っている」というようなイメージです。
なので、日本語にすると「私たちはやってきた」のような、これまで歩いてきた道のりを感じさせる表現になります。
補足の「a long way(長い道)」があるので、「私たちは長い道をやってきた」という訳になります。
★ from where we began
どこから来たのかというのは「from」の後に書かれていて、「where we began(私たちが始まった場所)」です。
出会ってから長い年月を一緒に過ごした二人の姿を、「長い道を来たね」と、旅のように表現しているのですね。
Damn, who knew?
「Damn」は苛立っているときに使ったりするスラングです。
日本語で言うところの「くそ!」のようなものでしょうか。
「who knew?」は直訳すると「誰が知っていた?」という意味で、意外なことを聞いたときに「びっくりした」という意味で使われている言葉です。
「意外だ」と訳してもいいですし、文脈によっては元々の意味を言い換えて「誰も知らなかった」としてもいいと思います。
All the planes we flew,
この文は「私たちが飛んだすべての飛行機」となるのですが、これは映画のワンシーンを連想させているのではないでしょうか。
この曲はPaulへ捧げた曲で、遺作となったFurious 7には車で飛行機から飛び降りるシーンがあります。
公式のトレーラーに、そのシーンがあったので読解の参考にしてみてください。
good things we been through
「we been」は文法的には間違いですが、「we have(we've) been」のことです。
英語のスラングでこういう言い方をする場合があり、ここはラップのパートなのでくだけた表現をしているのだと思います。
「have」は「持っている」、「been」は「“今”に影響する過去の存在」というイメージでなので、「we been through」の意味としては「私たちは経験してきた」となります。
何を経験してきたのかは「good things(いいこと)」で、“things”となっているので、「(たくさんの)いいことを経験してきた」というニュアンスです。
That I'd be standing right here talking to you
文頭の「That」は前のフレーズの「経験」を指しています。
★ I'd be sanding right here
「I'd」は「I had / I should / I would」のどれかを短縮した形ですが、この文は「経験」の内容を説明してるものなので、ここは「I had」の略でしょう。
「be」は“存在そのもの”を表しているので、「right here(ちょうどここの場所)」を含めると「ちょうどこの場所に立っていた存在」というような意味になります。
ニュアンスとしては、過去に“ちょうどこの場所”に立って過ごした時間を、そこに立ちながら思い出しているような感じです。
★ talking to you
「to」は“向かい合っている”というイメージを持っています。
この文でいうと「talking(話す)」と「you(あなた)」が向き合っているようなイメージなので、「あなたに話す」というような意味です。
まとめると、「ちょうどこの場所に立ってあなたに話していた」という訳で、「たくさんの良いことを経験してきて、その経験してきた良いこととは“ちょうどこの場所”であなたと話しをしたこと」だったというわけです。
'Bout another path,
「'Bout」は「about」の略で、この文は「別の通り道について」という意味になるのですが、これは「あなたと話したこと」の内容を指しています。
「今とは別の道に進んでいたらどうなっていたかなぁ」というような話をしていたというニュアンスですね。
I know we loved to hit the road and laugh
★ I know
「私は知っている」
★ we loved to hit the road and laugh
何を「知っている」のかというのがこの文です。
「hit the road」は「出発する」や「出かける」という意味のスラング的な言い方です。
直訳すると「道を打つ」というような意味になるイメージから、このような訳し方をすることがよくありますよ。
この曲は車のアクション映画の主題歌なので「ドライブに行く」と訳してもいいかもしれません。
他の「hit」を使った表現では、例えば「hit the dance floor」は「ダンスフロアを打つ」というイメージから「ダンスをする」という意味になったり、「hit the book」は「本を打つ」というイメージから「勉強する」という意味になったりしますよ。
「laugh」は「笑う」という意味で、声を出して笑っているときに使うイメージです。
“smlie”も同じ意味ですが、こちらはニュアンス的には「笑う」よりも「微笑む」の方が正しいですね。
「to」は“向かい合っている”イメージですね。
ここでは「we loved(私たちは愛していた)」と「hit the road and laugh(笑ってドライブに行く)」が向き合っているイメージなので、「笑ってドライブに行くことを愛していた」という意味になります。
全部まとめると「私たちは笑ってドライブに行くことを愛していた、ということを私は知ってる」という訳で、声を出して笑いながらドライブする様子が読み取れます。
But something told me that it wouldn't last
★ But something told me that
最後の「that」は、ひとまずそのまま「それ」と訳してみると、「しかし何かが私にそれを教えた」という意味になります。
★ it wouldn't (would not) last
前の文の「それ」を説明しているのが、後に続いているこの文で、「それは続かないだろう」という意味です。
「would」は“空想”のような、今の状況などに関係なく想像する未来を表現しているので、“笑ってドライブをしているのに、何となくこの状況は続かない気がする”というニュアンスがこの文からは読み取れます。
日本語で言うところの、“虫の知らせ”のような感じが近いでしょうか。
全部をまとめると「しかし何かが私にそれは続かないだろうと教えた」という訳になります。
Had to switch up, look at things different, see the bigger picture
★ Had to switch up,
「to」は“向き合っている”イメージですね。
「Had(持っていた)」と「switch up(切り替える)」が向き合っているイメージなので、「切り替えることを持っていた」というような意味になります。
「Had to」は「~しなければならなかった」と辞書などに載っているかと思います。
この文のように“切り替えることを持っていた=切り替えなきゃ”というようなイメージになるので、そういう風に辞書などに載っています。
この文の訳としては「切り替えなければならなかった」になります。
★ look at things different,
「at」は“点”というイメージを持っています。
なので、「things(もの)」という点を「look(見る)」というイメージで「違う見方をして」という意味になります。
メインは「things(もの)」で、それを「different(違った)」が補足している構図です。
★ see the bigger picture
「もっと大きな観点で見る」
Those were the days,
直訳すると「それらはその日々だった」となります。
「days」に「the」がついていることから、何か特定の日々の事を言っているニュアンスがあるので、そのことから「あの頃はよかった」という意味になるフレーズです。
そのまま覚えてしまってもいい慣用句ですね。
hard work forever pays
「重労働が常にためになる」という意味ですが、「hard work」の本質は「勤勉」などの頑張って何かをするようなことなので、「努力が報われる」と訳してもいいと思います。
Now I see you in a better place
「in」は“中”というイメージを持っています。
「you(あなた)」が「a better place(もっといい場所)」の“中”にいるイメージです。
この「you」は詳しく言うと「Now I see you(今私はあなたが見える)」のことなので、訳としては「今私はもっといい場所にいるあなたが見える」となります。
How could we not talk about family when family is all that we got?
★ How could we not talk about family
「How」は“程度”や“方法”を表していて、「could」は“未来と過去の可能性”を意味する単語です。
なので、これはどの程度「we not talk about family(私たちは家族について話さない)」という可能性があるの?というようなニュアンスの文になります。
★ when family is all that we got?
「when」があるので、日本語に訳すときは「when」以降の文を先に訳しましょう。
ひとまず「family~that」までを訳してみると、「家族はその全て」という意味になります。
この訳の「その」を説明しているのが「we got(私たちは得た)」なので、まとめると「家族は私たちが得た全て」という意味になります。
この映画のシリーズでは仲間のことを「ファミリー」と呼んでいるので、ここでいう「family」は「仲間」という解釈でもいいかと思います。
全部つなげると「家族は私たちが得た全てなら、どのくらい私たちは家族について話さない可能性があるの?」というような意味になります。
文の全体を見ると、「どのくらい私たちは家族について話さない可能性があるの?」というのは、“家族について話さないわけないよね?”というニュアンスになることが分かりますね。
なので、この文の訳は「家族は私たちの得た全てなら、家族について話さない訳ないだろう」となります。
Everything I went through you were standing there by my side
★ Everything I went through
これは「私が通り抜けた全て」という意味ですが、そのイメージから「私が経験した全て」という意味にもなります。
★ you were standing there by my side
「by」は“手をつないでいる”というイメージを持つ「with」より遠く、「near(近く)」よりは近いイメージを持つ単語です。
「you were standing there(あなたはそこに立っていた)」と手をつなぐとまではいかないけれど、限りなく近くに「my side(私の横)」がいるイメージなので、「あなたは隣に立っていた」という訳になります。
And now you gonna be with me for the last ride
「And now」は「そして今」という意味です。
★ you gonna (going to) be with me
「be」は“存在そのもの”を意味しています。
「with」は“手をつないでいる”イメージを持っているので、これは「あなたは私と一緒にいるつもり(の存在)」という意味の文になります。
「一緒にいるだろ?」と誘っているニュアンスの文です。
★ for the last ride
「for」は“ボールを投げた”というイメージです。
この文では「一緒にいるだろ?」という言葉から「the last ride(最後の乗ること)」にボールを投げたイメージで、「last ride」は曲の背景から「最後のドライブ」でもいいでしょう。
まとめると「そして今、最後のドライブに一緒に行くだろ?」、「最後のドライブに一緒に行こう」と誘っているような感じの訳になります。
First, you both go out your way
「you both」は「二人とも」や「お互い」という意味があり、例えば日常会話では「Did you both get it?(二人ともわかった?)」というように使ったりもします。
「go out your way」は「of」が省略されていて、「go out of your way」が本来の文です。
「of」は“箱からものを取り出す”イメージです。
「go out(出ていく)」という“もの”を「your way(あなたの道)」という“箱”から取り出すイメージなので、「あなたの道を出ていく」というような意味になります。
“あなたの道を出ていく”を言い換えると「無理をする」という訳になるので、これは「最初のころ、二人とも無理してた」という意味になります。
And the vibe is feeling strong
「また空気感は強く感じていて」
And what's small turned to a friendship
★ And what's (what is) small
「わずかな何か」
★ turned to a friendship
「to」は“向き合っている”イメージですね。
「turned(回した)」と「a friendship(友情)」が向き合っているイメージなので「友情に転換した」、「友情に変わった」と言う意味になります。
まとめると「わずかな何かが友情に変わった」という訳の文ですね。
A friendship turned into a bond
そして、その「友情はきずなになった」のですね。
前のフレーズでは「turned to」でしたが、この文では「turned into」に変わっていますね。
「into」は“どこかから中に入る”というようなイメージの単語なので、「友情」が心のもっとコアな部分に入って「きずな」になった、というニュアンスの文です。
And that bond will never be broke
「そしてそのきずなは決して切れることはない」
And the love will never get lost
ここで“切れることはないきずな”は「the love(愛情)」という表現に変わっています。
「get lost」は口語的な表現で、「lost(失った)」という状態を「get(得る)」という意味から、「失われる」と言う意味になります。
「never」で「失われる」を打ち消しているので、この文は「そして愛情は決して失われることはないだろう」となります。
And when brotherhood comes first,
「comes first」は「一番に来る」というイメージから「一番になる」という意味になるので、訳は「そして兄弟の縁が一番になるとき」。
この「brotherhood」は血のつながった兄弟だけでなく、兄貴分・弟分という意味でも使えますよ。
then that line will never be crossed
「then」は「その時」、兄弟の縁が一番になるときのことですね。
「line」にはいろんな意味がありますが本質の意味は「線」で、そのことから「進路」と訳せたりもします。
「その時、その進路は行き違わないだろう」。
この「that line」は“兄弟の縁”のことを言っているような感じもあるので、ニュアンスとしては兄弟の縁が一番だったら、進む方向も同じといった意味かと思います。
Established it on our own when that line had to be drawn
★ Established it on our own
「on」は“上に乗っている”というイメージを持っています。
「Established it(それを確立した)」が「our own(自分たち)」の上に乗っているイメージなので「自分たちでそれを確立した」という意味になります。
★ when that line had to be drawn
前のフレーズにも出てきた「that line」は「進路」だったり、「兄弟の縁」を意味していますね。
「to」は“向き合っている”イメージです。
「that line had(その進路を持っていた)」と「be drawn(描かれた)」が向き合っているイメージなので、「描かれたその進路を持っていた」というような意味になります。
「描かれたその進路を持っていた=その進路を描かなければならなかった」ということから、「had to」は「~しなければならなかった」という意味で辞書に載っていますよ。
「when(~するとき)」をつけて全部まとめると「その進路を描かなければならなかったとき、自分たちでそれを確立した」という意味になりますね。
また、「進路を描く」は言い換えると「判断する」とも言えるので、この文の訳は「判断をしなければならなかったとき、自分たちでそれを確立した」でもいいかと思います。
And that line is what we reached
★ And that line is what
ここで出てくる「what」は、「line」を具体的に説明するために使われています。
ひとまずそのまま「何」と訳してみると、「そしてその進路は(何)」となります。
★ we reached
続きに書かれているこの文が「何」になる文で、「私たちは達した」という意味です。
「that line(この進路)」はどんな進路なのかを「what」以降で説明している、ということです。
まとめると「そしてその進路が私たちが達したもの」というような意味になります。
「兄弟の縁で結ばれた自分たちが判断して確率した進路は、まさに自分たちが達した“今”」というニュアンスです。
So remember me when I'm gone
★ So remember me
「だから私を覚えていて」
「So」はいろんな使い方ができる単語なので、文脈を見て判断していきましょう。
★ when I'm (I am) gone
「私が死んだとき」。
「gone」という単語のニュアンスとしては「(どこかへ)行って今いない」や「無くなった」といった感じで、「My pen has gone(ペンを無くした)」などと使うことができます。
また、その意味から誰かが亡くなってしまったときにも「gone」を使って言うことができます。
「dead」も同じ意味ですが、“dead”の方がリアルな表現なのでちょっとインパクトが強いかもしれません。
So let the light guide your way
「let」は「させる」ですが、「(したいように)させる」や「(自然と)する」など、強制しないで意志を尊重するようなニュアンスがあります。
この訳は「let the light guide your way」は「光があなたの道を案内する」となり、光が自然と案内をしているイメージです。
強いきずながあれば、天国でも二人がまた会えるように光が自然と導いてくれる、というニュアンスです。
Hold every memory as you go
「as」のイメージは“まさにコレ”です。
「Hold every memory」は「あらゆる思い出を持って」という意味で、どんなときに“あらゆる思い出を持つ”のかが「as」以降に書かれています。
寝るときに持つのか、遊ぶときに持つのか、いろんな選択肢がある中で“まさに「you go(あなたが行く」ときに持つ”というのが「as」のイメージです。
訳すと「あなたが行くときあらゆる思い出も持って」となりますが、同じように「~するとき」という意味を持つ“when”よりは「as」の方が“同時”という感じが強い感覚がありますよ。
And every road you take will always lead you home
★ And every road you take
「そしてあなたが辿るあらゆる道」
★ will always lead you home
「いつでもあなたを家に導くだろう」
「home」は単純に「家」ではなくて、“家族(兄弟)がいる場所=私のところ”という意味もあるかもしれません。
この曲が主題歌になっている映画のシリーズでも、「home」は「居場所」というようなニュアンスでよく使っています。
Songwriters
Charlie Puth/Cameron Thomaz/Andrew Cedar/Justin Franks/Dann Hume/Josh Hardy/Phoebe Cockburn
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ラップの歌詞はスラングが多いですし、文法通りじゃないことも多々あります。
逆に言えば、文法通りじゃないことが多いので文法を勉強するときや、軽い言い回しを知りたいときには最適かもしれませんね。
それでは次回は、ざっくりと見た内容を歌詞の和訳としてまとめていきたいと思います!
間違っているところや分からないところ、リクエストなどもあればコメントで教えてくださいね。
See ya!👋
コメント
コメントを投稿